千葉県の小学3年生の殺人容疑で逮捕された渋谷恭正被告の論告求刑が6月18日、千葉地裁でありました。
論告求刑で検察は、渋谷被告に対して死刑を求刑。
そして渋谷被告は、事実無根として無罪を主張しています。
小学校登校の見守りとして女の子と顔見知りだった渋谷被告。
安全を守ってくれるはずの人物が起こしたこの事件は、極刑を求刑されても仕方ないですよね。
そして、書庫を突きつけられても頑として無罪を主張、遺族の証言にもまったく表情を変えない被告にゾッとするんです。
女の子の遺族や事件の展開を見守る私たちの「事実を明らかに」という思いは届きそうにありませんね。
初公判から死刑求刑までまとめてみました。
初公判から死刑求刑まで
出典
事件発生から、初公判までは、以前ブログ記事に書いたので、事件の詳細等はそちらでチェックしてみてください。
事件の初公判は2018年6月4日、千葉地裁で開かれました。
初公判6月4日
起訴状が読み上げられ、渋谷被告が被害者を車で拘束、性的暴行を加えて首を絞め殺害、遺体を遺棄したことが明らかになる。
検察側は冒頭陳述で
○被告の車から被害者のDNA型が検出された
○被告が所有しているキャンピングカー内からも被害者のDNA型が検出された
○手足錠などから、被告と被害者の混合したDNA型が検出された
○被害者の腹部からも混合したDNA型が検出された
ことを指摘する。
弁護側はDNA鑑定は信憑性に乏しいと疑問視、警察が捜査段階で捏造したのでは、と反論。
渋谷被告は、検察の主張は捏造されたものとして、完全否定する。
第2回公判6月5日
渋谷被告が事件に使ったとされる軽自動車の後部座席から、被害者の血液が検出されていたことについて。
弁護側は初公判で、被害者は2016年11月ごろに被告の車に乗ったことがあり、その時に擦りむいた血だと主張。
公判では、4人の警察官が証人尋問に応じ、「擦り傷でついた血ということは考えにくい」と、鑑識の現場責任者だった警察官が証言する。
警察官は、被害者の血痕が見つかったのは、運転席や助手席の下から採取されたことから、
被害者が座席の足元に押し込まれ、口などから出血した血が付いたと思う(引用)
と証言する。
第3回公判6月6日
弁護側が疑問視する、DNA型検出の信憑性について、血液を採取した3人の警察官の証人尋問が行われる。
○軽自動車内から血液を採取した警察官「新品のスーツを着て、新品の綿棒を使って採取した。混入していない。」
○キャンピングカー内のDNA採取を行った警察官「警察官の自覚を持って採取をした。間違いはない」
と、警察官はそれぞれ証言する。
第4回公判6月7日
引き続き、DNA型の信憑性が争点。
DNAの採取や鑑定を行った、千葉県警の鑑識課捜査員と、科学捜査研究所(科捜研)研究員の証人尋問が行われる。
捜査員も研究員も、DNAの意図的混入を否定、採取時・鑑定時にDNAが混入した可能性についても否定。
公判中、こんなやり取りも。
弁護側は、採取器具の1つが使用後にカバーをしても開口部があり、異物混入の危険があるのではないかと質問。捜査員は「採取後ただちに袋に入れるため危険は低い」としたが、弁護側は「(袋に入れるまで)時間がかかると危険は高まるか」と質問。裁判長が「仮定の質問だ」と制した。(引用)
第5回公判6月11日
科捜研の主任研究員が出廷、遺体から採取されたDNA型鑑定の結果について証言する。
主任研究員は
○鑑定は適切な方法で行われたため、他の試料や他人のDNA型は混入していない。
○遺体の腹部から発見されたのは、被害者と被告のDNA型。
○腹部からは唾液と血液も検出されたが、誰のものか不明。
○ただ単に被害者に触れただけでDNA型が検出されるということはほとんどない。
と証言。
さらに、
○腹部についた唾液は、犯人がつけたという可能性がある。
○話している時に飛ぶつばは少量なため、鑑定できるほどのDNA型は含まれていない。
○汗や涙にはDNA細胞が含まれていない。
と、弁護側の質問に答えた。
第6回公判6月12日
京大医学部の玉木敬二教授(法医学)が出廷、DNA鑑定の正確性について証言する。
玉木教授は
○全く同じDNA型を持つ人間は、地球上に二人といない。
○手錠から採取されたのは、3人分のDNA型が混合していると考えられる。
○混合型DNA型に被害者のDNA型が含まれている確率は非常に高い。
○被害者の腹部についた2人分のDNA型は、被告以外のものとは考えにくい。
との考えを述べた。
実際には、玉木教授は、
同じDNA型を持つ人は地球上に他にいないと考えてよい。リンさんのDNA型と同じ型を持つ人は42京(けい)人に1人(京は1兆の1万倍)、渋谷被告については97垓(がい)人に1人(垓は1兆の1億倍)と、非常に低い確率だ。
犯行に使われたとされる手錠についての鑑定資料を分析すると、3人分のDNA型が混合していると考えるのが妥当だ。手錠は渋谷被告の持ち物なので、1人は被告。さらに分析すると、残り2人にリンさんが含まれる可能性は、リンさんが含まれない可能性の28京倍高いと分かる。したがって、手錠から採取した試料にリンさんのDNA型が含まれていたと認められる。(引用)
と、確率を用いて証言されたということですが、その数字があまりにも大きすぎて想像しにくかったので、先に簡単にまとめてみました。
ひとつわかるのは、鑑定結果は、かなり信憑性が高い、ということですね。
第7回公判6月13日
被告の元妻と、被害者が通っていた小学校の校長、補導員男性が出廷。
元妻の証言:
○事件当日元妻は出勤するため午前4時45分頃自宅を出た。
○午後1~2時ごろ帰宅したときは、被告は不在。長女に聞くと、「話し合いがある」と言って出ていったという。
○被告は午後10時頃帰宅した。
校長の証言:
○事件当日午後1時過ぎ、被告の携帯に電話を複数かけたが連絡がつかなかった。
○同日午後5時25分と午後7時に被告と連絡が取れた。被告は見守りに行かなかったのは「母親の介護」と説明した。
補導員男性:
○事件当日、被告は松戸東署で開かれた少年歩道関係の研修会に参加予定だった。
○研修会が開催される前に、「不幸ができていけなくなった」と被告が参加をキャンセルした。
被告は事件当日は「釣りの下見」をしていたと主張していた。
また、被告の母親は事件当日より前に亡くなっていたし、元妻の母は中国にいると元妻が証言する(被告の元妻は中国籍)。
第8回公判6月14日
渋谷被告の被告人質問が行われる。
被告は事件当日の行動については、軽自動車で子どもたちを送ったあと、キャンピングカーにある釣具の確認をし、その後釣りの下見をするため車を走らせ午後10時頃帰宅したと証言。
見守りに出なかったのは、体調が悪かったためと説明した。
被害者が行方不明になったことを知ったのは、見守り活動の女性からの電話。
電話があったのは午後1時ごろで、捜索に出なかったのは面倒くさかったし、頼まれてもいなかったから、と被告は説明。
さらに被告は、通学時に子供が事件に巻き込まれたのは親が悪いと非難。
見守り活動は、子どもたちが道を渡るときの補助的役割をする存在と持論を展開した。
反面、弁護士になにか言いたいことはあるかと尋ねられると、「見守りをしていたのにリンさんを守れずすみませんでした」と謝罪の言葉を口にする。
第9回公判6月15日
被害者の母親の意見陳述書が読み上げられる。
また、被害者の父親は、遺族として証言台に立ち、心の内を訴えた。
父親の証言を聞いていた被害者の母親は、こらえきれずにむせび泣き、目を赤くする裁判員や、傍聴席からもすすり泣きが聞こえてきた。
その間被告は表情を変えず、遺族の証言を聞いていた。
こちらの記事に、被害者のお母さんの意見陳述全文があります。
読んでいるだけで切なくなりますが、ご両親が、どれだけ深く悲しみ、苦しんでいるか理解できます。
論告求刑6月18日
検察側は、現場から検出されたDNA型を疑問視していた弁護側の主張に、「理由がない」と反論。
そして、「犯行は冷酷、残忍、悪質で結果も重大。更生の可能性はまずない」と指摘、渋谷被告に死刑を求刑する。
死刑求刑を受けた渋谷被告は、「私は無実無罪でございます。私のことを信じて待っている子供2人のために公正な判決をよろしくお願いします」と、無実を主張。
弁護側も鑑定は万能ではないと主張し、検察側の主張に反論する。
裁判は結審し、判決は2018年7月6日午後3時15分に言い渡される予定。
否定しかしていないところに怒り
出典
公判は、DNA採取や鑑定が適切に行われたかどうかを中心に進み、関係者の証言、被害者遺族の証言、そして被告人の証言などを交えて結審しました。
一連の流れを見ると、捜査には弁護側が主張するような捏造や失敗は見られず、粛々と進んだようです。
なぜ弁護側が反論するのかよくわかりません。
逮捕されてから一貫して罪を否認している渋谷被告。
証拠を突きつけられても、最後の最後まで否定していましたね。
事件当日の行動についても、周囲に対する説明に一貫性はなく、本当に体調が悪い中、釣りの下見として広範囲を運転していることにも疑問が出てきます。
それこそ、そういうふうに行動したことを証明する証拠を出してほしいなと思いますね。
被害者遺族の証言を聞いている時、被告はずっと無表情だったそうですね。
無表情のままでいれる、というのが私には考えられません。
たとえ100万歩譲ってこの人が無罪だったとしても、親心があれば、何かしらこみ上げてくるものがあるのではないでしょうか。
それから、手錠に3人のDNA型があったと指摘されたとき「もしかして余罪あるんじゃない?」と思ったのは、私だけではないでしょう。
論告求刑で検察は、「人間性の欠片もない。犯行について語ろうともせず、刑事責任を免れようとしている」と、無罪を主張し続けてる渋谷被告を非難しました。
全く私もそう思います。
DNA鑑定に信憑性がなかったら、一体どんな根拠を示せばいいの?
判決が出るのは来月ですが、裁判員たちの、良識ある判断に任せたいです。
今回は、ということでした!
参考サイト:
https://www.sankei.com/life/news/180618/lif1806180019-n1.html
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180618-00000581-san-l12
https://mainichi.jp/articles/20180616/ddl/k12/040/027000c
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/507263
https://www.sankei.com/affairs/news/180614/afr1806140053-n2.html
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201806130000835.html
https://www.sankei.com/life/news/180612/lif1806120025-n1.html
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201806070000660.html
https://www.sankei.com/affairs/news/180611/afr1806110033-n1.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201806/CK2018060702000154.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/list/201806/CK2018060602000137.html
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201806050000151.html?Page=1